2020/03/03『メルマガ・ほほえみ法話』

わたしがやってるメルマガ『ほほえみ法話』がすこしだけ話題になっています。これは今から約20年前、まだまだネット環境も整っていなかった時代に「毎日、法話を届けよう!」と発心して始めたメールマガジンです。こう

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高野山時報より

始めるに当たって「とにかく平易な言葉、短い文章で今日のヒントを毎日お届けする」と心に決めました。スッと言葉が思い立つ日もあれば、まったく出てこない日もある……途中で面倒くさくなって止めてしまったり、メルマガ以外の他のメディア進化に心移りしてしまったので「20年に4,000通」というのはあまり褒められた数ではありません。

それでも毎回送られてくる感想メール、また休んでいると「楽しみに待っています。無理せず続けてください」という励ましのお声をいただいてここまで続けられた……というのが正直な気持ちです。目の不自由な方々から「読み上げ機能で読んでいます」というメールは本当に嬉しかったし、とあるOLさん(面識なし)からは「毎朝楽しみにしているのですが、うちの上司も読んでるみたいです。毎朝、こうゆうさんの内容の受け売りなんです」という内容に爆笑したり。心からメルマガというシステムは息の長いツールだなぁと思います。

また、このメルマガで人気のあった言葉を綴った『ほほえみ文庫』シリーズは今もなお可愛がって頂いていますし、このブログの前身『法話な日記』は[さるさる日記]という日本初?のブログシステムを使って、メルマガからのリンクで当時は1,000人以上の人が読んでくれていました。画像機能なし、1,000文字限定という窮屈なシステムでしたが、ここでの毎日の執筆は「わたしの作文活動」の今に生きていると思います。

これからも出来る範囲のペースでやっていきますので、これからもお付き合い下さいませ。

 

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2020/03/02『こういう時こその法話』

坊さんによって「法話の定義」は違うと思いますが、私は本来「こうあるべき」という軸はブラしちゃいけないと思っています。こと、同じ宗派なら特に。

今朝ここに記す内容は「法事の場」で坊さんに使って欲しい内容です。坊さんが使わないなら、在家の皆さんがしっかり認識しておいて欲しいことです。

今回の騒動と先祖供養は関係ない、坊さんと騒動沈静化は別次元の話というラインを取り除いたうえで切々と説いていくべきこと。

法事の席でもやはり話題はウイルスのことで持ちきりです。ならば、わたしはこう語ります。

 

今回は大変なことになってしまいました。不安で不安で仕方ありませんね。でも如何なる状況においても中止にならない、中止にしにくい家族行事があります。それがご法事とお葬式です。過去、震災などで混乱した時も、私のお寺では延期はあっても中止はありませんでした。

そこまでして何故行うのか?それは「やらなきゃいけない」という義務感と思われがちですが、信仰の中にある「願いと安心」から起こるもの……そう、菩提心からなのです。今日も驚くほどマスクをしている人が少ないですね。それは儀式に対する神聖なお気持ちと、仏さまの威光に素直に身を委ねておられるからでしょう。

法事は「亡き人のために」と思っている人がほとんどですが、実は最後にお唱えする回向文に「願わくは、この功徳を以ってあまねく、一切に及ぼし……」とあるように、今日の功徳はすべてに善き影響を及ぼすのです。

それはこの年忌(法事)を行う菩提(俗にいう故人)を中心として、親族が供養を捧げて、すべてに善い風(影響)が吹きますようにと願うわけです。ですから「亡き人がどこかで苦しんでいるから行う」というレベルではないのです。もちろんその人を慕い、その生き様にあやかり、その御魂の徳分を上げる功徳もありますが……。

今日、ここへご参席の皆さん、ぜひご一緒唱えるご真言に仏さまの「功徳ありますように」も観じてください。そして吸う息にも意識を傾けてください。鼻から入るその息は「仏さまの処方箋」そのものです。お香を通じて心身安楽安穏を与えてくださっているのです。

今日、私が持参しました「お香」は天然和漢の香料を寺に伝わる方法で調合したものです。元来、お香の功徳は単なる供物ではなく、薫る者たちをも健やかに穏やかにさせる効能があると説かれています。今日のこの席でしっかり今回の騒動沈静化を菩提と共に祈り、そして心身安楽安穏を得てお帰りください。

 

文章にすると長く感じますが、ゆっくり語っても5分弱の内容です。これだけで参席者の眼が輝きます。こういう時こそ、本来の功徳をしっかり説く……それが僧分の務めでなかろうかとわたしは思います。

 

2020/03/01『やっちもねぇ』

やっちもねぇ……という言葉は倉敷でよく使われる方言です。意味は「くだらない」「つまらん」「そんなことやってどうなるんだ?」というニュアンスで使われます。

わたしはこの言葉が大嫌いです。若き頃、何かに燃えて目上に提案すると、決まって「やっちもねぇ」とよく一蹴されました。内容も聞かずに頭ごなしにこの言葉を使う人が許せなかった。今でもよく耳にしますが、わたしはなるべく使わないようにしています。しかしネガティブな人、つまらないことでため息をついてる人には効果的です。

うちの檀家さんにおしどり夫婦がいました。もう2人ともお亡くなりになりましたが、時々この夫婦のやりとりを思い出すことがあります。旦那さんは超ポジティブ、奥さんは超ネガティブ……極端な2人でした。

ある冬の日のことです。遍路のバスツアーに出かけました。この夫婦もご参加でわたしの席の後ろに座っていました。当時はインフルエンザが猛威を振るっていてドタキャンも多かった。マスクを着用しているお遍路さんもたくさんいました。車中で奥さんが「もしインフルエンザにかかったらどうするのとよ?」とわたしに聞こえるように言いました。すると旦那さんは「やっちもねぇ……仏さんの修行でそんな心配は要らん。毎日、ちゃんと拝んでるから元気で居られる。そうじゃがなぁ、おじゅっさん」とわたしに振ってきました。わたしは「まったくその通り」と答えました。奥さんは恥ずかしそうにハッとして、そのあとホッとした様子で微笑んでくれました。

篤信とはこれにつきます。寺社に仕える者はそれだけで良いんです。しっかりした信仰を貫いていれば「世間を脱けだした目線」を持つことが出来ます。その目線で、今の世情を透かし観れば、どんな問題も「やっちもねぇ!」と一蹴して菩薩行に専念出来るのです。少なくとも世論と一緒にギャーギャー言うことが仕事じゃない。今こそ不動の心で、冷静にすべてに対してゆったりと祈るべきだと心から思います。

 

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2020/02/28『マスク加持という方便』

拝む者は固い頭じゃ、その功徳は半減する……そんなことを若きころ言われたことがあります。それは「良い道具を持っていても一つの用途でとどまっていてはいけない」というような意味からだと解釈した記憶があります。

昨日のお護摩で寄贈されたマスクをお加持しました。今やたいへん貴重なマスクです。せっかくなら何かに役立てたいといろいろ考えました。

そして思いついたのが「疫病退散マスク加持」です。大げさな名称ですが、要は流行病に負けないマスクとなるよう祈願するのです。

護摩には心身を活性化させる和漢の薬効成分が含まれると云います。その香りと煙を薫習して、諸尊の功徳を祈り込む。そして(先日述べた)「赤カン(マン)」の種字を捺印する。

しかしそのマスクはもちろん使い捨てです。何度も繰り返し使えるわけではありません。そこで「観想(着用時のイメージ)」をつけます。人は常に呼吸をしているわけですから、吐く息に真言を乗せる。ここでは「不動・薬師」の二仏の真言を微音で唱える。そして吸う息にその功徳を観じて深く心身に浸透するように観ずる。これを計7回行う。

これで「私は大丈夫」と自覚する。これが私の想う「マスク加持」です。屁理屈や!と言う者もいるのは承知です。しかし祈る者のとして「鰯の頭も……」という方便を捨ててしまってはいけない。わらをもつかみたい人はごまんといるのです。世情に乗っかってワーワー騒ぐことが真言僧侶の仕事じゃありません。

お寺を頼る人々には何かをお返しする。その信念こそがご本尊のご誓願なのですから……。



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2020/02/27『ブラ法話〜東寺編』

今回の個展は基本、京都に滞在していたので、その間に「何か法話イベントをやろう」と心に決めていました。

1つは『弘法さんの寺子屋』と題して、ギャラリーの母屋・ちおん舎さんの広間で「空海さまを語る会」を催しました。発案は京都の方々で「空海弘法大師、弘法さんは別人だと思っていはる人って案外多い」という驚きに応えるものでした。参加者は少なめでしたが、京都ならではのかなりコアなエピソードと霊験を語れたと思います。

そして個展閉幕の翌日、朝9時から東寺ツアーを決行しました。ウィルス騒動で開催を悩みましたが、身体堅固・疫病平癒を祈るお寺で「それを言っちゃおしめぇよ」とあえて強行しました。蓋を開ければ定員をオーバーする大盛況でした。余談ですが……今回の騒動は、疫病というより世間体との闘いのように映ります。自己予防しかなく、それには正しい生活、静養が一番です。マスクがないと騒ぎますが、マスクを着用出来ない仕事もあるのです。またどこかで触れますが、今回の騒動は「人間同士の距離」を問うものであるような気がしてなりません。満員電車も病院の待合いも許容オーバーが当たり前、なにかと莫大な規模で開催する詰め込みイベント、日本家屋が持っていた魅力を捨てて狂った快適思考による密閉空間での生活……どれも行き過ぎからの副作用でしょう。あ、話がそれました。

諸堂を丁寧に巡り、東寺スタッフ・田中さんによる完璧なご案内(東寺の誇る在家の女性スタッフで密教ラブ溢れる情熱派でした!)、そして東寺教学部長・玉野真永さん(神奈川足柄・弘済寺ご住職)によるご法話、それに加えて私が美術・建築・拝む世界からの東寺の魅力を補足させて頂きました。

3時間は長いかもね……という当初の心配はつまらぬ雑念で、始まってしまえばアッという間。うなずきと笑い、そのなかで思わず手を合わせたくなる理想的なご案内が出来たと思います。立体曼荼羅、金堂での薬師如来五重塔のスケールは圧巻で、東京の博物館で拝観した人たちも「伽藍ありきの諸尊」に改めて感動なさっていました。

中でも今回の目玉、小子房(しょうしぼう)観智院は私たちならではの説法をお楽しみいただけたと思います。これだけのボリュームでもまだまだ語りきれていないので、第2弾(6月22日・月))も決定しました。あ、メインはあくまでも私としましては『第3回・天野こうゆう個展in京都』、6月17日(水)〜21日(日)でして……ぜひそちらにお運びいただけたらと願っております。

◎本日は自坊・高蔵寺の『月例不動護摩』です。参拝者には本尊・薬師如来の功徳をもってお加持をした『疫病退散お加持マスク』をお授けいたします。ぜひお参り下さい。

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2020/02/26『個展を終えて』

京都での個展『仏さまと京の都展』、無事に閉幕しました。さすがにウィルス騒動で客足はいつもよりは少なめでしたが、それでもわざわざ足を運んで下さる方々の情熱はすごかったです。

今回はすこし色を意識した作品を多めに用意しました。季節や世情によって色味の人気が変わるんです。その読みはズバリと当たって、おとなしい落ち着いた作品より、躍動感のあるはっきりした色味が人気でした。

そして毎回、個展で感じるのですが(ちょっと汚い言い方ですが)お金を落とす人の目は本当に勉強になります。大切な予算から財布を開いてくださるわけですから……そのセレクト眼が凄いし、その口から出るご意見が何よりも参考になるんです。
毎度のことながら、個展閉幕と同時に「会場ロス」になるのですが、それ以上に手を動かしたく(←製作のこと)なるから不思議です。

次回は、6月17日(水)〜21日(日)で、同会場で予定しています。ギャラリートークや、お向かいの舞踏館の今貂子さん公演、太夫さんともコラボもしたく、すでに練り込んでおります。真言宗寺院での『ブラ法話』ももちろんやります。お楽しみに!

2020/02/22『私的流行病予防』

私はどうも流行りになり遅れるようです。ブームで行列になることも苦手だし、レンタルDVDなども新作に手を出したことはほとんどありません。短気でミーハーなイメージを持つ人がいますが、何かをかき分けて手にすることはなるべく避けて生きていきたいと思うタイプです。

 

だから修行の道場や寄宿舎でも残っているもので満足でした。別に慎み深いわけじゃなく、あの殺伐として奪い合いが嫌だった。日頃は大人しいくせに講義やセミナーで「質問でーす」と前に来る子、「ちょっと良いですか」と割り込んでくる女子、とにかく苦手で今もそのタイプは避けてしまいます。

 

流行乗り遅れの野郎の私にも利点はあるんです。それは流行病にかからないということ。もうこれはずっと昔からで未だにインフルエンザも知りません。心のどこかで「かかるわけない」と開き直っているのと、ここで持ち前の負けず嫌いが発動するんでしょうね。そう、病にも負けず嫌いなんです(笑)負けない、かかるわけがない、気にしない、私には関係ない……そして流行とは無関係。これで割と健康な日々を送っています。

 

マスクや手洗いという予防の呼びかけが聞こえますが、私自身が「これが効いてるんじゃないかな?」と思う唯一のことは、いや2つかな、それは液体歯磨き液でクチュクチュを1日に何度もすること。人と話す機会が多いからなのですが、これが効いてる気がします。もう1つは塗香(ずこう)の常用ですね。塗香作法は1,200年以上前にできたものですが、石鹸で手を洗うのと同じ手順です。和漢方薬を調合して作られているうえに鼻をくすぐる良い香り。ここに観想と真言が加わるわけですから病魔の入る余地などあろうはずがありません。

 

◎本日も個展開催しています。会場での語らいを楽しみにしております。京都ちおん舎ジェイスピリットギャラリー『天野こうゆう個展・仏さまと京の都展』11:00〜18:00→ https://www.facebook.com/events/1492573757589104/