2020/06/20『大丈夫、履いてますから』

すっかりご無沙汰となってしまいました。いろいろ配信していると、文字を綴ることが一番億劫で……それでもお付き合いありがとうございます。内容は法話じゃなく、ボヤキです……あしからず。

近頃、ネット界隈で「涼しい袈裟(法衣)」が話題となっています。ご存じの通り、法衣は襦袢(一番下に着る)、白衣、法衣の順に重ね着しているのですが、それを省いて襟元を細工して「あたかも着ているように見える」という代物なのだそうです。

お盆の熱中症対策として好評みたいですけど……私から言われると「愚の骨頂」ですね。第一、気持ち悪い。裸でコートを着る変なおっさんのようだ。そして「見えないからごまかしてもいい」という発想。十善戒を100万遍唱えなさい。

とにかく襦袢には襦袢の、白衣には白衣の役割があるわけですし、真言宗の場合「法衣を直に肌身に接触させない」というルール(諸伝あり)があるわけで。それに慣れてしまった護摩なんて裸でやんなきゃならなくなる(笑)

うちの明治生まれの師僧なんて「小僧なんぞ冬は薄手で一枚減らせ、夏は一枚増やすくらいの気持ちで所作せよ」と厳しかった。要は坊さんには「やせ我慢」の美学ってあるんです。歌舞伎俳優が下着をごまかすわけないですし、相撲取りが冬場にマフラーして土俵には上がらんでしょう。それくらいの愚行ってことです。

今年のお盆はお坊さんに「ちゃんと着てますか?履いてますか?」とぜひお訊ねください。きっと「大丈夫、履いてますから」と笑顔で答えてくれることでしょう。

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