2020/02/28『マスク加持という方便』

拝む者は固い頭じゃ、その功徳は半減する……そんなことを若きころ言われたことがあります。それは「良い道具を持っていても一つの用途でとどまっていてはいけない」というような意味からだと解釈した記憶があります。

昨日のお護摩で寄贈されたマスクをお加持しました。今やたいへん貴重なマスクです。せっかくなら何かに役立てたいといろいろ考えました。

そして思いついたのが「疫病退散マスク加持」です。大げさな名称ですが、要は流行病に負けないマスクとなるよう祈願するのです。

護摩には心身を活性化させる和漢の薬効成分が含まれると云います。その香りと煙を薫習して、諸尊の功徳を祈り込む。そして(先日述べた)「赤カン(マン)」の種字を捺印する。

しかしそのマスクはもちろん使い捨てです。何度も繰り返し使えるわけではありません。そこで「観想(着用時のイメージ)」をつけます。人は常に呼吸をしているわけですから、吐く息に真言を乗せる。ここでは「不動・薬師」の二仏の真言を微音で唱える。そして吸う息にその功徳を観じて深く心身に浸透するように観ずる。これを計7回行う。

これで「私は大丈夫」と自覚する。これが私の想う「マスク加持」です。屁理屈や!と言う者もいるのは承知です。しかし祈る者のとして「鰯の頭も……」という方便を捨ててしまってはいけない。わらをもつかみたい人はごまんといるのです。世情に乗っかってワーワー騒ぐことが真言僧侶の仕事じゃありません。

お寺を頼る人々には何かをお返しする。その信念こそがご本尊のご誓願なのですから……。



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