2020/02/14『知っておきたい霊魂のこと』

今日という日(2/14〜15・釈迦涅槃の日)を顧みて、たまにはこのような書籍も良いかも知れません。

それは『いま知っておきたい霊魂のこと/正木晃』という2013年に発表された書籍です。いわゆる霊魂というタブーに仏教学者が触れたものです。曼荼羅研究でも有名なあの正木氏が綴っています。東北の震災後、すこし勢いに任せて感情的な文章となっていますし、冒頭の妖怪・幽霊などの類いの解説は浅く、間違いも見られますが、この手のタブーに触れるには、優秀な学者とて「一気に書き上げる」パワーが不可欠だったのでしょう。

私個人の感想は「ようやくここまできたか」という内容だったと思います。輪廻という止まること知らない生命活動において、陳腐なスピリチュアルとフィクションの極楽安心で誤魔化そうとする昨今の流れ……それに無理矢理に納得しよう(させよう)としてきた皺寄せと、僧分の怠慢と言い逃れにうんざりし、学者が一石を投じた書であることは疑いの余地はありません。

ただ……しかしこの書籍も正直浅いです。もっと言えば正木氏のバックボーン(信仰)が見え隠れしている分、どうしてもその次元でしか語れてないし、個人的な先入観が前に立ってしまっています。しかし、数々の「説明の付かない事例」を丁寧に解説し、仏陀と様々な祖師を結びつけて疑問提起をしているところは見事です。

とは言え、これを読むと「死」「魂」「成仏」についてはますます混沌としてきます。しかし、とことん「混沌」は行き着くと、純粋な整理……「沈着」が生まれます。要するにわかりそうでわからないは「解る」の第一歩なのです。だからといって鵜呑みはいけません。でも私のような僧侶がしっかりとフォロー(注釈と展開、そして体験談)を加えれば、割と明確に「見えぬ世界」が理解できると思います。全体の5割程度が正論なので、その辺は読み進めていただき、その都度「ここは?」とメモをとっておくことをオススメします。(なお、メール、電話などでのご質問は一切受け付けておりません)

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