2020/02/20『個展が始まりました』

今年最初の個展が京都にて始まりました。開催できて、正直ホッとしています。同時に自身の現在地を確認する意味でも開催してよかったなぁと(まだ初日なのに)一人で感動しています。

今回は冬であり、世相も暗い話題が多いので、ポップな作品を多く出展しています。また京都ならではの、京都の人ならニヤリとするもの、東寺にまつわる仏さまたちも展示しています。

よく「どの作品から作り始めたのですか?」と訊かれます。いったん展示してしまうと時系列に説明しにくいのですが、個展開催が決まった時点で「不動明王」から描いたり、作陶することが多いのは事実です。理由は単に製作に「勢い」を出して弾みをつけるためなのですが、その後に観音さまなど「静」を表現すると全体にまとまりが出るような気がします。私の製作魂の点火は常に「お動明さま」だと言っても過言ではありません。

しかし今回は例外でした。なんだかしっくり来ない。この色で良いのかなぁ……このタッチで間違っていないか……などいろいろ考えていると手が止まってしまう。お不動さまには「青」「赤」「黄」の体色があるのはどうしてだろう?などと考えれば考えるほど製作が進まない。それはそれで楽しい思考タイムなのだけれど……でも締め切りというものがあるわけで。

そんな散漫なときはお得意の感度アンテナを伸ばしてみる。このアンテナは自分の中では水脈ともいい、探究心を「知りたい!知りたい!」と外に向けて電波を発信し続けていると、不思議とそのヒントが人のセリフや書籍の中、ラジオやテレビの放送の中に点となって現れるというもの。ただの意識改革のように思われるが、驚くほどの情報が点々とキャッチできるんです。

今回はまずネットで「疫病封じ」を訊ねられた。それは私には思いもよらぬ内容で「マスク加持」の依頼でした。腹帯も拝むのだからマスクもありだようねぇと盛り上がり、そこから「赤は特に疫病に効果がある」と教わって、そこから別角度で「赤カン」という初耳。実はこれ、赤不動に由縁するもので、カンは不動明王の種字「カンマン」だと云うのです。ならば、赤ベコなどに見られる単純でダイナミックな彩色で「赤不動疫病封じ・赤カン」という縁起物を作りたくなりました。

そうなると一気に弾みがついて、納得のいく作品がどんどん生まれていきました。ちょっと濃いめのお話ですが、今回の個展もすべてに意味づけのある作品が出揃いましたので、この時期、この場所ならではを楽しみにぜひお運びくださいくださいませ。

 

◎天野こうゆう『仏さまと京の都展』

・令和2年2月20日(木)〜24日(月・祝)

 11:00〜18:00(最終日は16:00まで)

・京都町屋・ちおん舎ジェイスピリットギャラリー

 【京都中京区衣棚三条上る突抜町126】